先日、3/6に京都市で開催される同人誌即売会の参加者に対し当Webサイトで注意喚起を行いました。
その際にSNS等で注意喚起が言いがかりだとの発言が多く見られた上某コミケの偉い人も注意根気をご覧になり「内容が良く分からない」と発言されていたようです。

 

まずは、本来注意喚起を行う対象以外の方に対し、説明不足のため不安や不快な思いをさせた事をお詫びします。

 

注意喚起は(メーカーの制定した規約を利用する)条件に該当するサークル向けに行っため、分かりづらい部分も有ったかと思います。このページでは、その他の方にも向けた形で「どのような経緯から注意喚起を行ったか」についてご説明させて頂きます。

 

ポイント
・今回は同人誌即売会に関する話ですが、運営側がメーカーの定めた規約を遵守するとして申請をしながら規約違反行為を行った事を問題視しています。

 

・前述の規約はサークルでも利用できます。メーカーの規約に従って作品の頒布を行っているはずが、そもそも頒布を行う会場が規約に違反しているという事はサークルは考えもしないでしょうし、この件に関する運営側からの告知等も期待できない状況だったため、こちらから注意喚起を行いました

 

以下、今回の件に関する1イベントの主催者の見解を記します。
後述のように、規約に関してはメーカーの規約を担当する部門(ピアプロ運営)に問い合わせる事も可能なので、不明な点や疑問点が有ればそちらにもお問い合わせ下さい。

 

目次
1.メーカーの定める規約の説明(当該部分のみ)
2.今回は何が問題だったのか
3.Q&A

 

1.メーカーの定める規約の説明(当該部分のみ)

よく「ボーカロイドはメーカー/権利者に二次創作を認められている」と言われます。これは、もう少し正確に言うと以下の様になります。
「ボーカロイドはメーカーが提示した規約の範囲内で二次創作を認められている」

 

ボーカロイドのキャラクターの二次創作に関しては、まずクリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以下クリプトン社と略します)がガイドラインを制定しています。

キャラクター利用のガイドライン」(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)
>本ガイドラインは、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以下、「当社」といいます)が権利を有するキャラクターについて、それを用いて二次創作活動を行うことを希望するクリエイターの皆様が、「利用できること」と「利用できないこと」を具体的な例を挙げて解説するものです。当社キャラクターの二次創作を公表される際には、必ず目を通していただくようお願いします。

 

また、キャラクター利用の際のガイドライン等は他のボーカロイドライブラリでも制定されている物が有りますが、クリプトン社では「投稿可能な他社キャラクターについて」において他社の製品のキャラクターも同様に扱えるように規約を制定しているため、今回はクリプトン社の規約のみを扱う事にします。

 

クリプトン社では、ボーカロイドライブラリを使用して作成した楽曲やキャラクターの二次創作の利用やコラボレーションを促進するため「ピアプロ」というコンテンツ投稿サイトを提供しています。また、非営利かつ有償で作品の提供等を行うユーザーのために「ピアプロリンク」というシステムを用意しています。

 

ピアプロやピアプロリンクはユーザーが任意で利用することが出来ますが利用の際には利用規約を遵守する事になっています。
そして、ピアプロの利用状況やピアプロリンクの申請状況に関してはピアプロのサイト上で確認することが出来、疑問等が有れば利用者や運営に問い合わせが出来るようになっています。

 

2.今回は何が問題だったのか

ピアプロリンクは規約で幾つか定義されていますが、今回の話に関係するのはそのうちの2つです

 

・非営利有償配布
>クリエイターが、利益を上げることを目的とせず、かつ、原材料費程度の支出を補うために必要最小限の対価(いずれの形式、名目をもって行われるかを問いません。以下同じ。)を受け取って、当社キャラクターの二次創作物(自作のものに限ります。)を自ら小規模に配布することをいいます。

 

・非営利有償サービス
>利益を上げることを目的とせず、かつ、会場費程度の支出を補うために必要最小限の対価を受け取って行う小規模のイベントまたはサービスであって、当社キャラクターの二次創作物(自作のものに限られませんが、利用する正当な権原を有するものに限ります。)を展示、上演、上映または公衆送信するものをいいます。

 

まず、今回は「かがみねのお茶会」においてOculus Rift体験会がピアプロリンクの非営利有償サービスとして申請され、ピアプロ運営に受理されています。
http://piapro.jp/product/?id=4bqc7a1d

 

ピアプロリンクは、その申請を行った者がピアプロおよびピアプロリンクの規約を
遵守するという条件で申請が認められています。
しかしながら、かがみねのお茶会にサークル参加する複数の方が、いわゆる18禁の
同人誌を出す事を告知していました。これはピアプロの利用規約第8条で禁止されている
>当社がわいせつと判断するコンテンツ又は文書を送信し又はアップロードする行為
>その他公序良俗に違反し、又は他人の権利を侵害すると判断される行為
ではないのかという疑いを抱きました。

 

このため、かがみねのお茶会の運営に対して上記の件に関して問い合わせたところ「問題ない」と回答が有りました。

 

この内容を、規約を運営するピアプロ運営に問い合わせたところ「問題が有り、遺憾の意を表明する」との回答が有りました。

 

また、以前ピアプロ運営に非営利有償サービスの適用範囲について尋ねた際に「サービスを行う会場全体が対象となる」との回答を頂いています。

 

会場ではピアプロリンクの非営利有償配布を用いて作品の頒布を行うサークルが有ると予想されますが、会場そのものが規約違反となっている状態は予想できないと判断し、主にサークル参加者に向けて3/5に注意喚起を行わせて頂きました。

 

3.Q&A

・注意喚起がイベントの間際で悪意を感じる

 

ボーパラ関西主催からの2/26付けのメールにおいて「ピアプロリンクに関して、クリプトン側と交渉中」という旨の内容が有りました。念のためピアプロ運営にも問い合わせましたが回答が有りませんでした。このため、週末になりイベントまで動きが無いだろうと考えられる状況になるまで動きが取れず、直前の告知となりました。

 

・18禁の作品は規約で禁止されてはいないのではないか

 

ピアプロの規約の8条において、以下の行為が禁止されています
> その他公序良俗に違反し、又は他人の権利を侵害すると判断される行為
「公序良俗に反する」に関しては、ボーカロイドの楽曲のFAQに
VOCALOID / VOCALOID2: どんな作品が公序良俗に反すると判断されますか?
>”公序良俗”の判断基準については弊社では「TV放送できるか否か」をひとつの判断基準としています。
とあり、動画やイラスト等においても同様の考え方と考えられます。

 

・2次創作に関して権利者に問い合わせるとは、ジャンルを潰す気か

 

1で述べたように、ボーカロイドのジャンルに於いてはメーカー側で2次創作に関する窓口が、いわゆる法務部門とは別に用意されています。また、窓口には自由に問い合わせが行えるようになっている上、イベントの運営側とこちらとで判断が分かれたため問い合わせました。18禁の作品に関しても、詳細は省きますが運営側で慎重に対応や判断をされていたという事はお知らせします。

 

・ピアプロリンクが適用されるのは申請したサービスのみでは無いのか

 

「ピアプロリンクの非営利有償イベントはどこまで対象となるのか」に関しては昨年9月にピアプロ運営に問い合わせましたが「対象のサービスが行われているフロア全体に適用される」との回答でした。
今回も非営利有償サービスを行っているのと同じ室内で18禁の同人誌が頒布されている事をピアプロ運営が問題視されています。

 

・一イベントの主催がメーカーの規約についてどうこう言う筋合いはないのでは
VOCALOID GENERATIONは立ち上げから既に5年ほどピアプロ及びピアプロリンクの規約を用いて運営しています。規約の疑問点などは随時ピアプロ運営とお話させて頂き、それなりの知識は持ち合わせているつもりです。

 

・イベント主催者が他のイベントの運営に関して口出しするのは問題では?
当該イベントで当方でも使用している規約に違反しているのではないかとの強い疑義が有り、かつ同じ行為を系列イベントで繰り返していたため問い合わせをさせて頂きました。単に問い合わせに対する見解を答えて頂きたかったのですが、逆に口止めされたのが残念です。

 

・今回の行為が規約違反だとしても、黙っていれば分からないのでは?
ピアプロリンクはピアプロのWebサイト上に申請した記録が残ります。
会場での頒布物に関しても作者の方がイベント後も告知を残される事が多いため問題が有ったかどうか、後から確認する事が可能だと考えます。

 

・このような話を出されても、参加側はどうやって確認してよいか分からない
ピアプロリンクの規約の第4条に
>すべての本件申請サービスにおいて、当該イベントまたはサービスを利用する者に対し合理的かつ明示的な方法をもって、当該申請に対応するピアプロリンク申請証を示すこと。
という規定が有ります。今回のイベントにおいてもWebサイトの企画紹介において
ピアプロリンクの申請へのリンクが有りましたので、このような表記に注意する必要が
有ります。

 

こちらの注意喚起に対し、SNS上では
「同人イベントに対するいいがかりだ」
「ボカジェネの主催は悪い奴だから、いう事を聞くな」
といった発言を見掛けました。

 

そのような発言をされた方々は、今回の文書の内容も踏まえた上で何がいいがかりか、具体的になにが悪いのかをお知らせ頂ければと思います。

 

参考記事:
初音ミクの画像は勝手に使ってよい? 『初音ミク』の販売元のクリプトン社に聞く
「初音ミク」長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略?
「初音ミク」創作活動の中から、新ビジネス発見&育成?クリプトン社の“怖い”戦略